日時 :2021年11月26日(金曜日) 13時開始
会場 :Zoomによるオンライン開催
参加費 :無料
申込 :下記の「お申込みフォーム」またはQRコードよりお願いします。
定員 :11月22日締切。定員300名程度。※定員になり次第、申し込みを締め切ります。
このページは、2021年に開催・終了したワークショップに関するものです。
2022年11月開催の第3回光量子センシングワークショップへは【ここをクリック】してください。

趣旨

量子技術を利用した計測・センシング技術は近年大きな注目を集めています。2018年に始まった文部科学省による「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」の基礎基盤研究グループの活動の一環として、産業界や大学等の若手研究者・技術者をはじめ幅広く光量子センシングに理解を持って頂くために本ワークショップを実施しています。昨年度に引き続き、今回は、「量子もつれ光って何? 赤外分光の最前線」のテーマで、「量子もつれ光」の基本から量子センシング、さらに最新の赤外分光や光子検出技術について実施いたします。ご参加を検討いただけると幸いです。

  

プログラム

挨拶
13:00~13:15
主催者挨拶
京都大学大学院工学研究科 教授 竹内繁樹
来賓挨拶
光・量子飛躍フラッグシッププログラム プログラムディレクター/  
東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 特任教授 荒川泰彦  
文部科学省 研究振興局 量子研究推進室 室長 迫田健吉
講演
13:15~13:45
オープニングトーク「量子もつれ光って何?その応用」
京都大学大学院工学研究科 教授 竹内繁樹
物質が原子から構成されているように、光も、最小のエネルギーの固まりである「光子」から出来ています。太陽からの光やレーザー光など、通常の私達がよく目にする光は、それらの光を構成する「光子」がばらばらの状態、より正確には互いに相関のない状態です。一方、「量子もつれ光」は、それを構成する光子が互いに相関をもち、従来の光とは大きく異なる性質を持ちます。この講演ではできる限り分かりやすく、量子もつれ光の原理とその量子センシングへの応用についてご紹介します。
13:45~14:25Q-LEAP研究紹介1
「上方変換赤外分光・イメージング技術の現状と展望」
京都大学大学院理学研究科 教授 田中耕一郎
赤外分光・センシングはFTIRの発明によって、物質、材料評価の標準的な方法として、広く普及してきた。しかし、そこで使われている光源、検出器技術は20年以上変化しておらず、微量物分析や顕微分光の発展のためには、高輝度な光源や高速、高感度な検出器の開発が望まれている。最近、赤外線の光を可視域に変換する(上方変換)ことで、感度の制限となっていた背景黒体輻射に打ち勝とうとする試みが世界的に行われている。本講演では、赤外検出器の現状と感度の基礎を述べた後、上方変換の世界的な研究開発の状況を概観し、Q-LEAPプロジェクトで進めている上方変換技術の現状について報告する。
Q-LEAP研究紹介2
「中赤外域超伝導ナノワイヤ単一光子検出器の開発」
情報通信研究機構 超伝導ICT研究室 室長 寺井弘高
超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)は、通信波長帯(1550 nm)で90%を超えるシステム検出効率、100カウント/秒以下の暗計数率、20-40 MHzの最大計数率、50 ps以下のジッタという優れた性能を持ち、量子情報通信分野を中心に利用が進んでいる。これまでSSPDの研究開発は、検出対象の光波長として可視~近赤外が中心であったが、我々は検出波長をさらに長波長側に拡大し、中赤外域でフォトンカウンティングが可能なSSPDの研究開発に取り組んでいる。本講演では、中赤外域SSPDについて最新の研究開発状況を紹介する。
休憩
14:35~15:35招待講演1
「中赤外キャビティーリングダウン分光による極微量分子分析とその応用」
名古屋大学大学院工学研究科 准教授、JSTさきがけ研究者(兼任)富田英生
光共振器を用いたレーザー吸収分光法の一種であるキャビティーリングダウン分光(CRDS)は、極めて高感度な手法として知られている。多くの分子で強い吸収線が存在する中赤外領域の光源とCRDSを組み合わせることで少量な試料に対しても高い定量性を有する分子分析手法となる。講演では、これまでに行ってきた放射性炭素同位体(14C)を含むCO2をpptレベルで分析する装置の開発と薬物動態分析などへの応用、また今後の展望について紹介する。
招待講演2
「フーリエ変換型赤外分光法の応用」
株式会社 島津製作所 分析計測事業部 シニアエキスパート 鈴木康志
フーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)は、干渉を用いた高感度な赤外領域の分光分析装置として、短時間で簡便に測定できる利点から幅広く普及している。1回のスキャン(干渉計の作動)で広い領域のスペクトル情報が得られ、この利点を活かし、試料の反応追跡、時間変化などを解析することができる。また、高感度検出器を用いることで、数秒で終了する高速の反応追跡も可能となる。さらにFTIRの明るい光学系と高感度検出器などを組み合わせ、赤外顕微鏡による微小領域測定に活用されている。これらのアプリケーションを中心に紹介する。
15:35~15:40閉会 主催者御礼
オプショナル企画
15:45~16:20京都大学・竹内研究室バーチャルラボツアー
「量子赤外吸収分光装置」、「量子光干渉断層撮影装置(量子OCT)」
※第1回ワークショップで放映したものを再度放映します。
主催
京都大学大学院工学研究科 電子工学専攻 応用量子物性分野、京都大学光量子センシング研究拠点
共催
京都大学産官学連携本部、京都大学オープンイノベーション機構、京都大学学術研究支援室、京都大学大学院工学研究科、京都大学卓越大学院プログラム 先端光・電子デバイス創成学、株式会社TLO京都、公益財団法人 京都高度技術研究所
後援
公益社団法人 応用物理学会、公益社団法人 日本分光学会